セクレトーム療法

概要

セクレトーム療法は、幹細胞そのものではなく幹細胞が分泌する有効成分を利用する新しい再生医療アプローチです。

幹細胞はサイトカインや成長因子、エクソソームなど多数の生理活性物質を放出し、周囲の細胞に働きかけて自己治癒を促進します。

近年の研究で、MSCの治癒効果の多くは細胞が直接組織に分化することによるよりも、分泌因子を介したパラクリン効果によって発揮されていることが明らかになってきました。

そこで、幹細胞培養上清中の有用成分のみを抽出・濃縮して投与するのがセクレトーム療法です。

いわば**「幹細胞のスープ」とも言える治療で、幹細胞を体内に入れなくともその放出する「治癒因子」だけで再生効果を得る狙いがあります。

幹細胞自体を投与しないため免疫拒絶や腫瘍形成のリスクがさらに低く、安全性が高いのが特徴です。

また細胞加工の工程を簡略化できるため比較的低コストで提供可能で、広範な疾患に対して手軽に反復投与できる**利点もあります。

23Cでは臍帯由来MSCの培養上清から高純度のエクソソームや成長因子を精製し、点滴・局所注射・外用など患者様の症状に応じた最適な方法で体内に届けます。

従来の幹細胞点滴と組み合わせることで効果を相乗的に高めるプランも用意しており、「幹細胞上清療法」として日本ではまだ受けられない最新の再生医療をマレーシアで提供しています。

メカニズムと効果

セクレトーム(分泌因子)の主な作用は、組織修復の促進、抗炎症、免疫調整です。

投与されたエクソソームやサイトカインは損傷部位で細胞の増殖・移動を促し、新生血管の形成や瘢痕組織のリモデリングを助けます。

例えば臍帯MSC由来のセクレトームは創傷治癒(傷の治り)の過程を改善することが示されています。

炎症期における過剰な免疫反応を抑制し、増殖期には皮膚の幹細胞や線維芽細胞、免疫細胞を傷部位に呼び寄せることで治癒を加速します。

この結果、動物モデルでは熱傷や糖尿病性潰瘍の治癒時間短縮が報告されています。

また神経系への効果も期待され、培養上清中の成分が神経炎症を抑え神経細胞の生存をサポートするとの研究があります。

例えばパーキンソン病モデルでは、MSC移植よりMSCのセクレトーム投与の方がドーパミン神経の保護と運動機能の改善に寄与したとの報告があり、分泌因子のみでも高い治療効果を発揮し得ることが示唆されています。

アルツハイマー病に関しても、複数経路に作用して神経保護・再生を促すセクレトーム療法が有望とのレビューが出されています。

炎症性疾患への効果については、MSC由来セクレトームの強力な抗炎症作用が注目されています。

炎症を抑えることで組織のダメージ進行を遅らせ、自己免疫疾患などの症状改善につながる可能性があります。

日本でも大阪大学などがCOPD(慢性閉塞性肺疾患)に対する脂肪由来MSCセクレトーム療法の研究を進めており、肺機能の改善が期待されています。

さらに美容・アンチエイジング領域では顕著な成果が出始めています。

臍帯MSC由来のエクソソームを含む培養上清を頭皮に投与した臨床研究では、被験者の86.6%で育毛・発毛の改善が認められまし。

この効果にはセクレトーム中のWnt7aタンパク質が関与し、毛包の再生を促進することが示唆されています。

また皮膚への応用では、ヒト臍帯MSC培養上清がメラニン産生を抑えて美白効果や抗シワ効果を持つことが確認されています。

実際に18種類ものサイトカインが皮膚状態改善に寄与しており、アンチエイジングに有用と報告されています。

さらにアトピー性皮膚炎やニキビ(尋常性座瘡)に対しても、培養上清が皮膚バリアを修復し炎症や過剰な細胞死を抑えることで症状を改善する可能性が示されています。

このようにセクレトーム療法は全身の様々な組織・臓器の再生に寄与しうる幅広い効果を持つことが明らかになってきました。

適応症例

23Cで提供するセクレトーム療法は、神経系疾患の機能回復、難治性炎症疾患の治療、美容・エイジングケア、組織修復や痛みの緩和といった領域で適応を検討しています。

具体例として、神経系ではアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患、脳卒中後遺症や脊髄損傷など神経損傷による機能障害が対象です。

これらは根本的治療が難しい領域ですが、セクレトーム療法により神経炎症の抑制や軸索再生の促進を図り、症状の進行抑制や機能回復の一助とすることを目指します。

炎症・自己免疫疾患では関節リウマチ、クローン病などの慢性炎症性疾患が挙げられます。

免疫を落ち着かせ組織修復を促すセクレトームの作用により、症状緩和や寛解導入を促進できる可能性があります。

美容目的では皮膚の若返り(シワ・たるみ改善)や毛髪再生(育毛・発毛)が主な適応です。

前述のとおり、セクレトームは皮膚のハリ・弾力を改善しうるエビデンスがあり、ヒトへの臨床でも肌のキメや艶の向上、薄毛改善が報告されています。

23Cでは点滴に加えて必要に応じ局所への直接注射も併用し、成分を集中的に届けることで効果を高めます。

また、スポーツ障害や外傷後の筋肉・腱の損傷修復、慢性疼痛の軽減にもセクレトーム療法を応用します。

組織の治癒を促進し痛みの原因となる炎症を鎮めることで、早期回復や痛みの緩和が期待できます。

実際、マレーシアでは薄毛、ニキビ、乾癬、重度の瘢痕などに対しセクレトーム療法で良好な臨床報告が蓄積されています。

日本国内でも再生医療学会などでセクレトームの症例報告が増えており、今後適応領域がさらに広がる見込みです。

安全性・副作用

セクレトーム療法は細胞を用いないため、生きた細胞移植に伴うリスクを大幅に低減できます。

投与するのは細胞培養上清から精製されたタンパク質やエクソソームであり、細胞自体は含まれません。

そのため腫瘍形成や異所性組織形成のリスクは理論上皆無であり、免疫拒絶反応も起こりにくいと考えられます(エクソソーム自体はMHCなどを持たない)​。

臨床研究でも重篤な副作用はほとんど報告されていません。

例えば脂肪由来MSC上清を関節炎患者に投与した試験では、有害事象は注射部位の軽度な痛み程度で安全に施行されています。

また幹細胞由来エクソソームを用いた臨床試験でも、点滴後に一時的な発熱や倦怠感が見られるケースがあるものの、短期間で消失し恒常的な副作用はないとの結果が得られています。

23Cでは製剤の純度管理と無菌操作に細心の注意を払い、培養上清から細胞や不要物をしっかり除去した上で製剤化しています。

投与前には成分の品質試験を実施し、エンドトキシンや病原体が含まれないことを確認しています。

さらに、安全性データに基づき適切な投与量・頻度を設定しています。

エクソソームや成長因子は量を増やせば効果が向上するものではなく、最適投与量があります。

23Cでは国内外の文献エビデンスを踏まえ、安全かつ効果的な用量で治療を行っています。

不確かな製品を用いたエクソソーム療法では効果が得られないだけでなく安全性にも不安が残りますが、当院ではNPRAの規制に準拠した工程で製造した信頼性の高いセクレトーム製剤のみを使用しています。

以上より、セクレトーム療法は幹細胞療法と比較しても副作用リスクが低く、安心して受けていただける治療です。

ただし、未知の部分も多い治療法のため、治療後は定期的な経過観察を行い効果と安全性を慎重に評価していきます。

最新動向

セクレトーム療法は再生医療の中でも比較的新しい領域であり、国内外で盛んに研究が行われています。

特にエクソソーム(幹細胞由来小胞)に関してはドラッグデリバリーへの応用など医薬品としての開発も進んでおり、幹細胞を用いない「細胞フリー再生医療」として期待されています。

マレーシアでも最先端の研究機関がセクレトームのメカニズム解明や製剤化に取り組んでおり、23Cもそうした研究ネットワークと連携しています。

また、セクレトーム療法は既存治療との併用でも新たな可能性を示しています。

例えば前述のように幹細胞点滴とセクレトーム点滴を組み合わせることで相乗効果が得られるケースや、NK細胞療法とセクレトーム療法を併用して免疫賦活効果を高める試みも検討段階にあります。

日本では規制上まだ一般臨床に導入されていませんが、海外では美容クリニックなどでエクソソーム療法がメニュー化されつつあります。

今後エビデンスが蓄積されれば、日本でも解禁・普及する可能性があります。

23Cではマレーシアで先行して豊富な治療経験を積み、安全性と有効性のデータを集めています。

その知見を生かしつつ、最新研究にもアクセスすることで、常に最良のセクレトーム療法を患者様に提供してまいります。