慢性疼痛への幹細胞治療について

慢性疼痛への幹細胞治療について

薬やブロック注射、リハビリなど、さまざまな治療を試しても痛みが続く慢性疼痛は、日常生活や睡眠、仕事、気分にまで大きな影響を及ぼすことがあります。

CRPS(複合性局所疼痛症候群)、線維筋痛症、慢性腰痛、椎間板性腰痛、神経障害性疼痛などは、慢性疼痛の背景となる代表的な疾患や病態です。

たとえば、軽く触れただけで強い痛みを感じる、夜間も痛みで眠れない、痛みへの不安で外出や運動を避けるようになるなど、本人だけでなく家族の生活にも影響することがあります。

従来の鎮痛薬や神経ブロックで十分な効果が得られないケースは少なくありません。そうした中、ウォートンジェリー由来MSCやセクレトームを用いて、炎症、神経過敏、組織修復環境に働きかける再生医療が新しい研究領域として注目されています。

慢性疼痛では体内と神経で何が起きているのか

慢性疼痛は、単に「痛みが長く続いている状態」ではありません。本来は体を守るための警報である痛みが、炎症、組織損傷、神経の過敏化、脳や脊髄での痛み処理の変化などによって、必要以上に鳴り続けている状態と考えられます。

急性の痛みは、ケガや炎症を知らせる大切なサインです。しかし痛みが長引くと、痛みを伝える神経回路そのものが変化し、傷が治っても痛みが残ったり、わずかな刺激でも強い痛みとして感じたりすることがあります。

痛みを火災報知器に例えるなら、急性痛は本当に火事が起きたときに鳴る警報です。一方で慢性疼痛では、火が小さくなった後も警報が鳴り続けたり、少しの煙でも大きな警報が鳴ったりするような状態が起きているのです。

痛みにはいくつかの種類がある

慢性疼痛は、原因や仕組みによっていくつかに分けて考えることができます。代表的なものに、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、痛覚変調性疼痛があります。

侵害受容性疼痛は、関節、筋肉、靭帯、椎間板などの組織に炎症や損傷があり、痛みを感じる受容器が刺激されることで起こる痛みです。変形性関節症、慢性腰痛、椎間板性腰痛、腱や靭帯の炎症などが関係することがあります。

神経障害性疼痛は、神経そのものが傷ついたり圧迫されたりすることで起こる痛みです。しびれ、灼熱感、電気が走るような痛み、刺すような痛みとして感じられることがあります。

痛覚変調性疼痛は、明確な組織損傷や神経損傷だけでは説明しきれない痛みで、痛みを処理する神経系の働きが変化している状態と考えられています。線維筋痛症や一部の慢性腰痛、CRPSなどでは、このような痛みの過敏化が関係することがあります。

炎症や組織損傷が長引くと痛み信号が出続ける

組織が傷ついたり炎症が続いたりすると、患部ではプロスタグランジン、ブラジキニン、TNF-α、IL-1β、IL-6などの炎症性物質が増えることがあります。これらは、痛みを感じる神経を刺激し、痛み信号を出しやすくします。

本来、炎症は組織を修復するために必要な反応です。しかし炎症が長引くと、痛みを伝える神経が刺激され続け、痛みの火種が消えにくくなります。

たとえば、慢性的な関節炎や椎間板の炎症では、組織の損傷だけでなく、周囲の炎症環境が痛みを長引かせる一因になることがあります。

末梢感作によって少しの刺激でも痛みやすくなる

末梢感作とは、患部の近くにある末梢神経が過敏になり、通常よりも痛み信号を出しやすくなる状態です。炎症性サイトカインや神経成長因子などの影響により、痛みを感じる神経の感度が上がると考えられています。

末梢感作が起こると、以前なら気にならなかった動作や圧迫、温度刺激でも痛みを感じやすくなります。たとえば、軽く押しただけで強く痛む、少し歩いただけで痛みが増す、冷えや湿気で痛みが強くなるといった状態です。

これは、痛みを感知するセンサーの感度が高くなりすぎているようなものです。センサーが敏感になるほど、小さな刺激でも大きな痛みとして脳に伝わりやすくなります。

中枢感作によって脊髄や脳の痛み処理が変化する

痛み信号が長期間続くと、脊髄や脳の痛み処理にも変化が起こることがあります。これを中枢感作と呼びます。

中枢感作では、痛みを伝える神経回路の興奮が高まり、痛みのボリュームが上がったような状態になります。その結果、患部からの刺激が弱くても強い痛みとして感じたり、痛みの範囲が広がったりすることがあります。

たとえば、触れただけで痛い、服がこすれるだけで痛い、痛みが患部以外にも広がる、疲労やストレスで痛みが増すといった場合、中枢感作が関わっている可能性があります。

アロディニアと痛覚過敏が起こることがある

慢性疼痛では、アロディニアや痛覚過敏と呼ばれる状態が見られることがあります。アロディニアとは、本来なら痛みを起こさない刺激でも痛みとして感じる状態です。

たとえば、服が肌に触れる、風が当たる、軽くなでるといった刺激でも痛むことがあります。一方、痛覚過敏は、本来痛みを起こす刺激に対して、通常よりも強く痛みを感じる状態です。

これらは、末梢神経や脊髄、脳の痛み処理が過敏になっているサインと考えられます。痛みが「患部だけの問題」ではなく、神経システム全体の問題として広がっている場合があります。

ミクログリアやアストロサイトによる神経炎症

慢性疼痛では、神経を支える細胞であるミクログリアやアストロサイトも注目されています。ミクログリアは、神経系の中で異常を見つけて反応する“見回り役”のような細胞です。アストロサイトは、神経細胞の周囲環境を整える細胞です。

神経損傷や炎症が続くと、ミクログリアやアストロサイトが過剰に活性化し、TNF-α、IL-1β、IL-6などの炎症性サイトカインを放出することがあります。これにより、神経の興奮が高まり、痛みが長引きやすい環境が作られる可能性があります。

このような神経炎症は、神経障害性疼痛、CRPS、線維筋痛症、一部の慢性腰痛など、さまざまな難治性疼痛の背景として研究されています。

慢性疼痛では心身のストレスも痛みを増幅する

慢性疼痛は、体だけでなく心の状態や生活環境にも影響を受けます。痛みが長引くと、睡眠不足、不安、抑うつ、活動量の低下、筋力低下が起こりやすくなります。

睡眠不足やストレスが続くと、痛みを抑える脳の働きが弱まり、痛みを感じやすくなることがあります。つまり、痛みがあるから動けない、動けないから筋力が落ちる、筋力が落ちるとさらに痛む、という悪循環が起こることがあります。

そのため慢性疼痛では、痛みの原因となる組織だけでなく、神経、炎症、睡眠、ストレス、生活動作まで含めて総合的に考えることが重要です。

なぜWJ-MSCやセクレトームが注目されるのか

慢性疼痛では、炎症、組織損傷、末梢感作、中枢感作、神経炎症など、複数の仕組みが重なっていることがあります。そのため、単に痛み止めで痛み信号を一時的に抑えるだけでは、十分に対応しきれない場合があります。

そこで注目されているのが、間葉系幹細胞(MSC)や、MSCが分泌する成長因子・サイトカインなどを含むセクレトームです。MSCは、抗炎症作用、免疫調整作用、神経保護作用、組織修復環境への作用などを通じて、慢性疼痛に関連する体内環境へ働きかける可能性が研究されています。

特にウォートンジェリー由来間葉系幹細胞(WJ-MSC)は、臍帯由来の若い細胞として、セクレトームを介したパラクリン作用が注目されています。WJ-MSC療法は、慢性疼痛を確実に治す治療として確立されているわけではありませんが、炎症や神経過敏、組織修復環境に多面的に働きかける可能性が研究されています。

POINT

  • 慢性疼痛では、炎症、組織損傷、神経の過敏化、脳や脊髄での痛み処理の変化が重なっていることがあります。
  • 侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、痛覚変調性疼痛など、痛みには複数の仕組みがあります。
  • 末梢感作が起こると、患部の神経が過敏になり、少しの刺激でも痛みを感じやすくなります。
  • 中枢感作が起こると、脊髄や脳で痛みのボリュームが上がり、アロディニアや痛覚過敏につながることがあります。
  • ミクログリアやアストロサイトによる神経炎症は、難治性疼痛の背景として研究されています。
  • WJ-MSCやセクレトームは、抗炎症作用、免疫調整作用、神経保護作用、組織修復環境への作用を通じて、慢性疼痛に関連する体内環境へ働きかける可能性が研究されています。

幹細胞はなぜ痛みに効くのか──“火種”に働きかける多面的アプローチ

慢性疼痛の背景には、炎症、組織損傷、神経過敏、神経炎症など複数の要因が関わります。MSCやセクレトームは、これらの痛みに関わる環境へ多面的に働きかける可能性が研究されています。

慢性疼痛は「治りにくい痛み」というだけでなく、組織の回復遅延、炎症の持続、神経の過敏化などが複雑に絡み合って続いていることがあります。

こうした背景に対して、間葉系幹細胞(MSC)やセクレトームは、抗炎症作用、免疫調整作用、神経保護作用、組織修復環境への作用という観点から研究されています。

本記事では、23C JAPANが扱うウォートンジェリー由来MSC(WJ-MSC)とセクレトームを中心に、慢性疼痛に対する再生医療研究の可能性を解説します。

組織修復環境を整える可能性

長引く痛みの背景には、関節、椎間板、神経などの組織に炎症や損傷が残っていることがあります。MSCやセクレトームは、成長因子やサイトカインなどを介して、組織修復環境を整える可能性が研究されています。

慢性椎間板性腰痛に対するヒト臍帯由来MSC研究では、VASやODIなどの疼痛・機能指標が評価され、前向きな変化が報告されています。ただし、症例数は限られており、椎間板そのものが完全に再生する治療として確立されているわけではありません。

炎症の過剰な反応を調整する可能性

慢性疼痛の背景には、体内でくすぶり続ける炎症が関わることがあります。炎症性サイトカインであるTNF-α、IL-1β、IL-6などが増えると、神経や周囲の組織が刺激され、痛み信号が強まりやすくなります。

MSCは、抗炎症性サイトカインや免疫調整作用を通じて、過剰な炎症反応に働きかける可能性が研究されています。痛みの背景に炎症が関わる場合、炎症環境を整えることが重要な研究テーマになります。

神経過敏や神経炎症に働きかける可能性

神経そのものがダメージを受けている場合、過敏になった神経がわずかな刺激にも痛みとして反応することがあります。MSCやセクレトームは、神経炎症、ミクログリア活性化、酸化ストレス、神経保護に関わる可能性が研究されています。

これは、壊れた神経を完全につなぎ直すというより、神経細胞の周囲環境を整え、痛み信号が過剰に出にくい状態を目指すアプローチとして考えると分かりやすいでしょう。

血流や細胞環境を支える可能性

組織がうまく回復しない背景には、血流の悪さや細胞周囲の環境悪化が関係していることがあります。特に筋肉、腱、椎間板周囲などでは、酸素や栄養が届きにくい状態が痛みの持続に関わる可能性があります。

MSCやセクレトームは、VEGFなど血管新生や組織修復に関わる因子を介して、細胞が働きやすい環境づくりに関与する可能性が研究されています。ただし、これらの作用は疾患や投与方法によって異なるため、今後の検証が必要です。

このように、MSCやセクレトームは単に「痛みを感じにくくする薬」とは異なり、炎症、神経過敏、組織修復環境など、慢性疼痛に関わる複数の要素へ働きかける可能性が研究されています。

ただし、慢性疼痛の原因は疾患ごとに異なり、WJ-MSC療法やセクレトームがすべての痛みに同じように有効であると確立されているわけではありません。

POINT

  • 慢性疼痛の背景には、炎症、組織損傷、神経過敏、神経炎症などが関わることがあります。
  • MSCやセクレトームは、抗炎症作用、免疫調整作用、神経保護作用の観点から研究されています。
  • 椎間板性腰痛では、臍帯由来MSCを用いた小規模研究で疼痛・機能指標の変化が評価されています。
  • 神経障害性疼痛では、神経炎症やミクログリア活性化への作用が前臨床研究で検討されています。
  • 慢性疼痛に対するWJ-MSC療法やセクレトーム研究は、今後さらに検証が必要な研究領域です。

痛みが消えない理由に挑む──慢性疼痛と幹細胞治療の疾患別アプローチ

CRPS、線維筋痛症、椎間板性腰痛、神経障害性疼痛では、それぞれ痛みが続く仕組みが異なります。MSCやセクレトームは、炎症や神経過敏、組織修復環境に働きかける可能性が研究されています。

慢性疼痛の特徴は、その「しつこさ」だけではありません。損傷組織の回復遅延、炎症の持続、神経の過敏化、痛み処理の変化などが複雑に絡み合い、薬やリハビリだけでは十分に改善しにくいケースがあります。

間葉系幹細胞(MSC)やセクレトームは、炎症調整、神経保護、組織修復環境への作用という観点から、慢性疼痛に対する研究が進められています。ここでは、難治性慢性痛の代表的な病態ごとに、研究されている方向性を整理します。

CRPS:局所炎症と神経過敏が関わる難治性疼痛

CRPS(複合性局所疼痛症候群)は、けがや骨折、手術などをきっかけに、患部の強い痛み、腫れ、皮膚温や色の変化、関節のこわばりなどが続くことがある疾患です。

特徴的なのは、触れただけでも強い痛みを感じるアロディニアや、温度刺激に対する過敏さです。局所炎症、神経過敏、自律神経の変化、神経炎症などが複雑に関わると考えられています。

MSCやセクレトームは、こうした炎症や神経過敏に働きかける可能性が研究されています。

一方で、CRPSに対するWJ-MSCや臍帯由来MSCの臨床エビデンスはまだ限られており、現時点では有効性を断定する段階ではありません。今後の臨床研究による検証が必要です。

線維筋痛症:痛みの過敏化に関わる中枢感作

線維筋痛症では、全身の痛み、こわばり、倦怠感、睡眠障害などが続くことがあります。その背景には、中枢感作や痛覚変調性疼痛のように、脳や脊髄での痛み処理が変化している可能性が研究されています。

見た目や一般的な画像検査だけでは異常が分かりにくいこともあり、患者さんの痛みが周囲に理解されにくい場合があります。

MSCやセクレトームは、神経炎症や炎症性サイトカイン、ミクログリア活性化に働きかける可能性が研究されていますが、線維筋痛症に対する臨床応用はまだ検証段階です。

そのため、線維筋痛症に対しては、運動療法、睡眠改善、薬物療法、心理社会的支援などの標準的な治療と併せて、再生医療研究の進展を慎重に見ていく必要があります。

椎間板性腰痛:椎間板環境と炎症への作用が研究されている

椎間板性腰痛は、背骨のクッションである椎間板の変性や炎症が関わる慢性腰痛です。椎間板の水分量や弾力性が低下したり、炎症性物質が増えたりすることで、腰痛が長引くことがあります。

従来は、薬物療法、リハビリ、神経ブロック、手術などが検討されますが、椎間板そのものの変性に対する治療には限界があります。

慢性椎間板性腰痛に対するヒト臍帯由来MSC研究では、VASやODIなどの痛み・機能指標の変化が評価され、2年追跡で前向きな結果が報告されています。

ただし、症例数は限られており、標準治療として確立されているわけではありません。椎間板性腰痛に対するMSC療法は、保存療法と手術の間に位置する新しい研究領域として、今後さらに検証が必要です。

神経障害性疼痛:神経炎症とミクログリア活性化への作用が研究されている

糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛、脊髄損傷後疼痛など、神経そのものの損傷や機能異常が原因となる痛みを神経障害性疼痛と呼びます。

神経障害性疼痛では、しびれ、灼熱感、電気が走るような痛み、刺すような痛みなどが現れることがあります。通常の鎮痛薬だけでは十分に改善しにくいこともあります。

神経障害性疼痛では、神経損傷、ミクログリア活性化、神経炎症、酸化ストレスなどが痛みの持続に関わる可能性があります。

ヒト臍帯由来MSCを用いた動物モデル研究では、痛覚過敏やミクログリア活性化、神経炎症への作用が報告されています。ただし、ヒトで神経そのものをつなぎ直す治療として確立されているわけではありません。

POINT

  • CRPSでは、局所炎症、神経過敏、自律神経の変化などが複雑に関わると考えられています。
  • 線維筋痛症では、中枢感作や痛覚変調性疼痛が重要な研究テーマです。
  • 椎間板性腰痛では、ヒト臍帯由来MSCを用いた小規模研究で疼痛・機能指標の変化が評価されています。
  • 神経障害性疼痛では、神経炎症やミクログリア活性化への作用が前臨床研究で検討されています。
  • 多くは前臨床研究や小規模研究の段階であり、今後は大規模で長期的な臨床研究が必要です。

幹細胞治療は安全なのか──副作用と今後への備え

MSC療法は、慢性疼痛や関連疾患の研究で安全性が評価されていますが、疾患ごとの長期的な安全性と有効性については今後の検証が必要です。

再生医療と聞くと「特別な治療」と感じる方もいるかもしれません。慢性疼痛に対するWJ-MSCや臍帯由来MSC、セクレトームの研究では、安全性と有効性の両面から検証が進められています。

一方で、慢性疼痛は原因疾患が幅広く、投与方法や投与部位も研究によって異なります。そのため、すべての慢性疼痛に同じ安全性や効果が当てはまるわけではありません。

拒絶反応や免疫反応について

MSCは免疫に認識されにくい性質があるとされ、他家細胞としての使用可能性が研究されています。一方で、慢性疼痛に対するWJ-MSCや臍帯由来MSCの臨床研究はまだ限られており、投与方法、投与量、対象疾患によって安全性評価は異なります。

局所投与、髄腔内投与、静脈投与などでは、それぞれ注意すべきリスクが異なります。感染、炎症反応、注射部位の痛み、発熱、アレルギー反応などへの注意が必要です。

治療効果には個人差がある

MSC療法やセクレトーム研究で報告される変化は、疾患の種類、痛みの期間、神経障害の有無、炎症の程度、投与方法などによって異なります。

そのため、すべての方に一律に効果が現れるわけではなく、個別の状態に応じた適切な判断が必要です。また、投与回数や間隔、長期的な効果の持続性についても、今後の臨床研究で明らかにしていく必要があります。

長期的な安全性評価が重要

MSCを用いた研究では、腫瘍化などの重大なリスクは多く報告されていません。ただし、細胞治療である以上、長期的な安全性評価と経過観察が重要です。

慢性疼痛では、痛みが長期間続いている方や、複数の疾患を併発している方も多いため、治療前の適応判断、細胞の品質管理、投与後のフォロー体制が欠かせません。

信頼できる医療機関での管理が重要

幹細胞治療は高度な医療技術を必要とするため、細胞の品質、培養環境、感染管理、投与方法、投与後の経過観察が重要です。

科学的根拠と安全管理に基づいて、患者さん一人ひとりの状態、痛みの原因、既存治療の経過を確認しながら、慎重に治療方針を検討する必要があります。

POINT

  • MSC療法やセクレトーム研究では、安全性と有効性の両面から検証が進められています。
  • 慢性疼痛に対するWJ-MSCや臍帯由来MSCの臨床研究はまだ限られています。
  • 投与方法、投与量、対象疾患によって安全性評価は異なります。
  • 腫瘍化などの重大なリスクは多く報告されていませんが、長期的な安全性評価が必要です。
  • 治療を検討する際は、細胞品質、感染管理、投与後フォロー体制が重要です。

おわりに:慢性疼痛に対する再生医療研究のこれから

慢性疼痛では、炎症、組織損傷、末梢感作、中枢感作、神経炎症、心理社会的要因などが複雑に関わります。

WJ-MSCや臍帯由来MSC、セクレトームを用いた研究では、抗炎症作用、免疫調整作用、神経保護作用、組織修復環境への作用が検討されています。

一方で、慢性疼痛に対するWJ-MSC療法は標準治療として確立されているわけではなく、疾患ごとの有効性や長期的な安全性については今後も検証が必要です。

WJ-MSC療法やセクレトーム研究は、難治性慢性疼痛に対する新しい再生医療の研究領域として、今後の発展が期待されています。

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