無認可の幹細胞施設にご注意ください

無認可の幹細胞施設にご注意ください

マレーシアでは細胞・遺伝子治療にも厳しいルールがあります

マレーシアで「幹細胞治療」や「遺伝子治療」といった再生医療を行うには、政府の厳格なルールに従う必要があります。

これらの治療に使われる製品は、マレーシア保健省(MOH)のもとで国家薬品規制庁(NPRA)がしっかりと管理しています。また、マレーシアの法律(1984年薬物および化粧品管理規則)では、政府に登録されていない製品を製造・販売・施術すること自体が違法と明記されています。

つまり、無認可の細胞治療を提供することは、法律違反になりうるということです。安全な治療を選ぶためには、きちんと認可を受けた施設・製品かどうかを確認することが大切です。

NPRA公式ガイドライン

NPRA認可の幹細胞施設リスト

NPRAでは、国内のどの施設が上記の基準を満たしているかを明確にするため、GMP適合を有する細胞および遺伝子治療製品製造施設のリストを公表しています。最新の2024年7月29日付のリストによれば、マレーシア国内でNPRAから認可を受けた細胞および遺伝子治療製品の製造施設はわずか8か所に限られています。

NPRA認可の細胞および遺伝子治療製品製造施設

このリストに掲載された施設は、NPRAによる現場査察でGMP基準への適合が確認された施設であり、細胞治療製品の製造環境や手順が国際水準で管理されていることを意味します。

言い換えれば、この公式リストにない施設の幹細胞の製造や臨床提供を行っている場合、その施設はNPRAの認可を受けていない可能性が極めて高いと言えるでしょう。

患者さんや医療従事者の方は、細胞および遺伝子治療製品を提供する施設がこの認可リストに含まれているかどうかを一つの目安として確認することが推奨されます。

無認可施設を利用するリスク

無認可の施設で製造された細胞および遺伝子治療製品には、以下のような重大なリスクが伴います。

安全性のリスク:

適切なGMP/GTP管理が行われていない環境で製造・提供された細胞および遺伝子治療製品は、無菌管理や品質検査が不十分である可能性が高く、細菌・ウイルス感染症や予期せぬ免疫反応といった健康被害のリスクが高まります。

実際、海外では未承認の幹細胞治療を受けた患者が重篤な感染症や腫瘍形成、さらには死亡に至ったケースも報告されており、品質管理の欠如は生命に関わる危険を招きかねません。

有効性・品質の不確かさ:

科学的検証を経ていない治療では有効性や安全性が保証されていません。高額な費用をかけても期待した効果が得られないばかりか、場合によっては病状の悪化を招く恐れもあります。

しかし一部の私立クリニックが関節疾患・糖尿病・アンチエイジング等をうたい文句に、こうした未承認の治療を提供している実態が指摘されており、患者さんは誇大な宣伝に惑わされない注意が必要です。

法的・倫理的問題:

無認可施設は、前述の通り法令違反に該当する可能性が高く、そこでトラブルや健康被害が生じても公的な救済を受けにくいのが現状です。

監督当局の許可を得ずに提供される治療では、十分なインフォームド・コンセントや副作用発生時の対応体制が整っていない場合もあり、患者さんが不利益を被っても責任の所在が曖昧になりかねません。

また、そうした施設で時間や費用を費やすことは、エビデンスのある正規の治療を受ける機会の逸失にもつながるため、医療選択において慎重な判断が求められます。

私たちは患者様に安心と信頼を持って先進医療をご利用いただけるよう、マレーシア当局のガイドライン遵守はもちろん、日々技術と体制の向上に取り組んでおります。
今後も法令順守と品質確保を最優先に、安心して受けられる再生医療の発展に貢献してまいります。